「LGBT」という言葉をご存知でしょうか?
LGBTとは、いわゆる性的少数者のことで、「ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー」の頭文字を取った言葉です。
日本の人口の13人に1人は存在するとも言われるLGBTの方ですが、まだまだ社会で認知されているとは言い難く、就職や転職においても大きな悩みに直面しやすくなっています。
そんなLGBTの方が、LGBTに理解があり働きやすい職場(LGBTフレンドリーな企業)への転職を果たし、より自分らしく働いていくためには、どのようにすればよいのでしょうか?
今回は、LGBTにおすすめの転職サイトを5つピックアップして紹介していきます。
1. LGBTならではの転職の悩みとは?
「本当はもっと自分らしく働きたい」という悩みは、誰もが抱えるものかと思います。
LGBTの方の場合は、以下のような面でそのような悩みを抱えやすくなっています。
1-1. 採用や昇進などについて
LGBTであることを隠して入社している場合、それが明るみになることで不当な扱いを受けないかという不安がつきまとうことも多くなります。
LGBTであることがバレて昇進の面で差別を受けた、最悪の場合は解雇されてしまったという実例があるのです。
では、最初からLGBTであることを打ち明けた場合はどうでしょうか?
まず、そもそも採用してもらえるのか、採用に当たってLGBTであることがマイナスに働かないかなどの不安が出てきます。
採用されたとしても、その後昇進などの面で差別を受けることも考えられます。
LGBTであることを打ち明けても打ち明けなくても、常に不安はつきまとってきます。
1-2. 職場の制度や雰囲気について
特に同性のパートナーがいる場合には、家族手当の適用の有無が気になる場合もあるでしょう。
転職先の企業において、このようなLGBTに対する福利厚生がどのようになっているのかも気になるものです。
また、LGBTに関する理解がどの程度ある職場であるかも大切なポイントになります。
例えば、LGBT研修が誰に対して、どの程度行われているのか、その内容が職場内にどの程度浸透しているのかも、当事者にとっては知りたいところです。
また、理解の不足によって差別やいじめが起こらないかという不安もあります。
あからさまな差別やいじめでなくとも、「マイクロアグレッション」と呼ばれる無意識の攻撃が、LGBTの方の心を痛めつけることにもなりかねません。
例えば、結婚のことや好きな異性のタイプのことなどを根掘り葉掘り聞き出すようなことが、LGBTの方にとってはマイクロアグレッションに該当します。
聞いている側には悪意がなくても、本人にとってはものすごい苦痛になっていることもあるのです。
職場の制度や雰囲気が、LGBTにとって優しいものかどうかも、転職先を探す際には悩むポイントとなり得ます。
1-3. 自分自身のふるまいについて
自分自身のふるまいに関する悩みは、求人に応募する段階から始まります。
例えば、履歴書の性別欄はどちらに丸をつけるかというところから問題にぶち当たります。
また、面接を受けに行くにも、服装をどちらの性別に合わせるかという問題も出てきます。
そもそも採用前の段階で、LGBTであることを打ち明けるかどうかも悩みどころです。
これらの悩みは、採用された後でも出てくることはありますし、さらにトイレはどちらを使用するかといった問題も出てきたりします。
2. LGBTの転職サイトの選び方
LGBTの方がもっと自分らしく働いていくためには、どのように転職サイトを選んでいけばよいのでしょうか?
2-1. LGBT求人に特化したサイトを選ぶ
LGBT求人に特化したサイトであれば、掲載されている求人はすべてLGBTの方でも働きやすい、LGBTフレンドリーな求人となっています。
そのため、LGBTの方を積極的に雇用する職場や、LGBTについて理解のある職場に出会いやすくなっています。
2-2. 多様性を大切にするサイトを選ぶ
LGBT求人に特化しているわけではなくても、多様性を大切にし、すべての人々が自分らしく働けることを応援してくれるような転職サイトもあります。
そのようなサイトであっても、LGBTフレンドリーな求人には出会いやすくなり、利用する価値は高いと言えるでしょう。
2-3. 入社・活躍実績が豊富なサイトを選ぶ
扱っている求人数がそもそも多いサイトであれば、その中からLGBTフレンドリーな求人が見つかることもあります。
一般向けの転職サイトであっても、LGBTの入社・活躍実績が豊富なサイトは存在しています。
そのようなサイトを利用してみるのも一つです。
3. LGBTにおすすめの転職サイト5選
それでは、LGBTの方が転職活動を行う際におすすめできるのは、どの転職サイトなのでしょうか?
ここではおすすめのサイトを5つ紹介します。
3-1. ichoose・Jobレインボー
まずおすすめしたいのが、『ichoose』と『Jobレインボー』です。
この2つのサイトは運営会社が同じであるため、一緒に紹介させていただきます。
3-1-1. ichoose
『ichoose』は、LGBTフレンドリーな求人に特化した転職サイトです。
厳しい審査を通過し、LGBTフレンドリーであると認められた企業の求人のみが掲載されています。
自分のセクシュアリティや、配慮してほしいことなどを登録しておけば、マッチングする求人を見つけ出すことも可能です。
また、求人を検索する際にも、「だれでもトイレがある」「制服の男女別なし」といった、どのようにフレンドリーであるかの絞り込み条件が豊富です。
3-1-2. Jobレインボー
『Jobレインボー』は、ichooseと同じ会社で運営されている、より総合的な就活・転職支援サイトです。
ichooseが求人サイトとして特化されているのに対して、JobレインボーはLGBT関連のコラムや企業へのインタビューなどが充実しており、転職の際に参考となる情報を得ることができます。
もちろん、求人サイトとしての利用価値も高くなっています。
求人検索の絞り込み条件も、ichooseと同様に、どのようにLGBTフレンドリーであるかの項目が豊富です。
また、企業ごとにどのようにLGBTフレンドリーなのかが数値化されていて、自分のニーズとマッチする企業を見つけやすくなっています。
3-2. Nijiリクルーティング
『Nijiリクルーティング』も、LGBT求人に特化したサイトです。
扱っている求人はすべて、LGBTフレンドリーなものです。
ただし、こちらは自分で求人を検索するサイトというよりも、転職エージェントとしての側面が強くなっています。
登録すると、LGBTに理解のあるキャリアアドバイザーが担当としてついてくれて、転職活動を手厚くサポートしてくれます。
3-3. ワークポート
『ワークポート』は、LGBT求人に特化しているわけではありません。
しかし、多様性をとても大切にしており、外国人や障がい者などのマイノリティと呼ばれる人々でも、すべての人が自分らしく働けることを応援してくれるサイトです。
そのため、LGBTの転職活動についても、積極的にサポートしてくれます。
なお、こちらも転職コンシェルジュが担当となってサポートしてくれる、転職エージェントとして運営されています。
在籍する転職コンシェルジュ向けにLGBTに関する研修が行われているなどの点からも、LGBTの転職サポートに対して意欲的であることがよくわかります。
3-4. リクナビNEXT
『リクナビNEXT』は、LGBT求人に特化しているわけではありませんが、求人数がとても多く、扱っている分野も幅広いのが特徴です。
そのため、LGBTフレンドリーな求人も見つけやすくなっています。
「LGBT」というワードで求人を検索するとヒットしてくる求人もありますし、LGBT特集を何度か組んだという実績もあります。
LGBTの転職支援に対しては、積極的な転職サイトと言えるでしょう。
3-5. doda
『doda』もまた、LGBT求人に特化はしていませんが、求人数が非常に多いため、LGBTフレンドリーな求人は見つかりやすくなっています。
中には、LGBTフレンドリーであることが確認済みの求人もあります。
転職エージェントを利用することで、よりそのような求人に出会いやすくなるでしょう。
4. おすすめ転職サイトを比較
ここまで紹介してきた5つの転職サイトの特徴を、表にしてまとめてみます。
転職サイトを選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
転職サイト名 | 特徴 |
ichoose Jobレインボー | ・LGBT求人に特化している ・審査を通過したLGBTフレンドリーな求人のみを掲載 ・ichooseは求人サイトに特化している ・Jobレインボーは総合的な転職支援サイト |
Nijiリクルーティング | ・LGBT求人に特化している ・キャリアアドバイザーが転職活動をサポートしてくれる |
ワークポート | ・多様性を大切にしている ・転職コンシェルジュが転職活動をサポートしてくれる |
リクナビNEXT | ・求人数が多く、LGBTフレンドリーな求人を見つけやすい ・LGBTの転職支援に積極的である |
doda | ・求人数が多い。LGBTフレンドリーであることを確認済みの求人もある ・エージェントの利用がおすすめ |
このように、それぞれのサイトには異なった特徴があります。
一つのサイトだけを頼るのではなく、組み合わせて利用していくのがよいでしょう。
5. LGBTの方が転職サイトを上手に活用するには
ここまで紹介してきたサイトをより賢く利用し、自分らしく働くことを実現させていくためには、どのようなことを意識して利用すればよいのでしょうか?
5-1. 自分のニーズを明確にする
一言で「LGBTフレンドリーな企業で働きたい」と言っても、どのようなフレンドリーさを求めるのかは、人によって様々です。
服装やトイレの利用などを配慮してほしい方もいますし、家族手当などの制度面、あるいはLGBTをオープンにできる雰囲気などを大切にしたい方もいます。
自分自身がどのようなニーズを持っているのかを明確にしていくことで、より希望通りの求人に出会いやすくなるでしょう。
5-2. 自分のアピールポイントを持つ
企業に対してLGBTフレンドリーであることを求めると同時に、自分自身がその企業に入社して何がしたいのか、何ができるのかを明確にすることも大切になってきます。
一般的な転職とまったく同じことが言えるのですが、自分の強みはどんなところで、それをどう生かしていこうとするのかを、採用する企業側も知りたいはずです。
自分自身のこれまでの経験や、それによって身につけてきたスキルなどを、もう一度棚卸ししてみましょう。
6. まとめ
今回は、LGBTフレンドリーな求人を見つける際におすすめの転職サイトを5つ紹介しました。
それぞれに異なった特徴があるので、組み合わせて利用していくことで、より希望通りの転職を実現しやすくなるでしょう。
LGBTの方が転職を考える際には、他の方がなかなかぶつからないような悩みに直面することも多々あります。
それを乗り越えて、自分らしく働くことを実現させていくためにも、今回紹介した転職サイトを上手に利用していただければと思います。