医師には、常勤と非常勤があります。
常勤医師は、サラリーマンでいうところの正社員やフルタイムのようなものです。
それに対して非常勤は、常勤ではない勤務形態を指します。常勤を選ぶことには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
非常勤との比較も含めて、詳しく解説していきます。
常勤医師の勤務時間
厚生労働省は、週32時間以上働いている医師を常勤、それ以下を非常勤と定めています。
ただし、法律で定められている絶対的なルールではありません。
医療機関に立ち入り調査する際に、必要な医師数をカウントする際の方針として扱われています。
医療機関が32時間ルールを守る必要はなく、中には40時間以上を常勤、それ以下を非常勤と定めている場合もあるのです。
常勤医師のメリット
常勤医師は、非常勤医師よりも勤務時間が長いため、労働時間を抑えたい方にとってはデメリットと言えるでしょう。
しかし、勤務時間が長いことの他にも特徴があり、それによって様々なメリットを得られるようになっています。
勤務形態を決める際には、常勤医師のメリットも十分に確認したうえで検討しましょう。常勤医師のメリットは次のとおりです。
人間関係を構築しやすい
常勤医師は勤務時間が長いため、それだけ他の医師や看護師、受付などとの人間関係を構築しやすいというメリットがあります。
人間関係の構築しやすさは、一見医療とは無関係に思えますが、実は密接に関係しています。人間関係が良ければ、仕事もモチベーション維持に繋がります。
逆に、人間関係が構築できないと、仕事に行くことにストレスを感じ、誤診などのリスクが高まります。
人間関係が極端に悪い医療機関は、患者に対する対応も悪く、気持ちよく仕事ができない傾向もあるのです。
経験を短期間で積める
1回の勤務時間が長いため、それだけ短期間で多くの経験を積めます。
医師は、実力もさることながら、常勤の年数も評価の1つとなっています。
これは、非常勤よりも常勤の方が医療に浸かっている時間が長いためです。
ガイドラインに従った診療であっても、経験が少ないと稀な病気の発見ができません。
誤診によって間違った薬を投与することも考えられるでしょう。
そのため、経験を短期間で積めることは大きなメリットと言えるのです。
安定している
常勤医師は、非常勤とは違い安定して雇用されます。
そのため、次の職場を探す手間や労力がかかりません。
それだけ目の前の医療に集中できるため、診療の質も高まる可能性があります。
逆に、非常勤は次の職場のことを考えるあまり仕事が手につかなくなることもあるのです。
開業までの期間が短い
開業には、多くの資金が必要です。
常勤医師として長く働けば、それだけ多くの収入を得られるため、開業までの期間を短縮できます。
また、開業医は腕一つにかかっているため、経験がものを言います。
また、所属学会や過去の経歴なども患者が病院を選ぶ際に注目するポイントですが、常勤医師は非常勤医師よりも充実した経歴になります。
そのため、集客も安定しやすいのです。
常勤医師のデメリット
常勤医師はメリットが大きいのですが、デメリットもあります。
どれも考え方によってメリットに変わるものとなっていますが、確認しておいた方がいいでしょう。
常勤医師になるデメリットは次のとおりです。
私生活に支障をきたすケースがある
常勤は1日8時間の勤務となっていますが、医療機関によってはそれ以上の勤務が求められます。
さらに、当直を任されることで、昼夜逆転の生活が続くこともあるのです。
また、急に呼び出されるようなこともあるため、場合によっては私生活に支障をきたすことになります。
そうなれば、ストレスが溜まり、提供する医療の質に問題が起こることも考えられるでしょう。
医師は楽で高給取りといったイメージを持っている方もいますが、給与が高いだけハードであることを再認識しておくことが大切です。
学会への積極的な参加を求められる場合がある
学会や病院が所属している会の集まりなどに、半強制で参加させられることがあります。
休日や仕事の後に行われるため、体力的な問題が起こるでしょう。
ただし、学会に参加することで最新の医療について学べ、日々提供している医療の質が上がるため、必ずしもデメリットとは言い切れません。
まとめ
常勤医師はサラリーマンでいうところの正社員のようなものです。
非常勤と比べて人間関係が構築しやすく、経験を短期間で積めるというメリットがあります。
しかし、勤務時間が長いうえに当直や学会への半強制参加などもあるため、私生活に支障をきたすケースもあるのです。
ワークライフバランスをとることが難しく、医療に対する高い志を持っていなければ務まらないかもしれません。
メリットとデメリットを比べたうえで、常勤医師に向いているかどうかを考えましょう。