事務職の転職は難しいと思っていませんか?
実際に事務職は営業職や技術職などの総合職と比べると求人数は多くはありません。そのため、限られた求人枠の中に応募が殺到し、倍率が高くなる傾向にあります。
事務の経験があれば、転職先が簡単に見つかるかもしれませんが、未経験では難しいのが現状です。
それでも、事務職への転職を諦めたくないというあなたのために、『未経験から事務職へ転職する方法』を長年事務職を経験してきた私の立場から解説していきたいと思います。
この記事を読めば、あなたが今後どのようにして事務職へ転職できるかがわかるようになるでしょう。
1. 事務職の転職が難しいと言われる理由
他の職種から転職するとき、事務職は未経験だと難しいと言われています。その理由を解説します。
1-1. 年齢の壁
一般的に30代後半から、事務職の求人は減る傾向にあります。
※厚生労働省「年齢別有効求人数」より抜粋
年齢が上がるにつれて求人数が減少する理由としては、
- 会社側が長期勤続を求めているので若年層を採用する傾向にある
- 若年層の方がパソコンスキルが高い傾向にあるため、指導しやすい
などがあります。
1-2. 雇用形態の壁
また、30代で正社員経験が一度もないという方も転職活動が厳しくなっていきます。
派遣社員として事務の経験があっても、正社員経験の有無を面接の場で確認されることはよくあります。
よくある質問で、
というものがあります。
面接官によって質問の意図は変わってくるかもしれませんが、どちらかというとネガティブな意味で聞いてくる方もいます。
派遣社員でしか経験がないという方は、『なぜ、派遣社員として働いていたのか?』の理由をしっかりと堂々と伝えることを意識しましょう。
2. 【年代別】事務職に転職するときの方法
転職を成功させるとき、事務職は年齢も大きく影響しています。年代ごとに注意するポイントや成功の秘訣を、年代別にまとめました。
2-1. 20代の場合
特に20代前半の転職であれば『十分な実務能力がない』ということを認識しておきましょう。
注意すべきポイント
- (特に20代前半は)社会経験が浅く、実務能力が不十分と見られるケースがある
- 前職での勤務期間が短い(勤続1年未満)ようであれば、定着の問題で懸念される
- 未婚であれば、結婚を機に退職されると懸念されるような会社もある
成功の秘訣
- 社会経験が少ない分、やる気や素直さがあることをアピールしましょう。
- 勤続1年未満であれば、「なぜ辞める(辞めた)か?」「事務職であればなぜ頑張れるか?」の理由をはっきり説明できるようにしましょう。
- 事務職としてのキャリアプランを明確に話せるようにしましょう。
2-2. 30代の場合
30代は即戦力として需要も高い年代といえるでしょう。ただ、マネジメント経験が無いと、シビアな目で見られることも多くなります。
注意すべきポイント
- 30代以上は即戦力とみなす企業が多く、未経験職種への転職は難しくなる
- 一般的に未経験職種への転職は年収が下がる傾向にあり
- 採用されても若手社員ほど丁寧に教育はしてくれないので、自分で覚える姿勢を持つ
成功の秘訣
- 今までの経歴や培ったスキルがいかに事務職に活かせるかをアピールする
- 未経験職種は年収が下がることを覚悟する。年収の交渉は入社後実績を出してからと心得る
- 採用されたら、教えてくれるのを待つのではなく、自ら動いて業務をマスターするよう心がける
2-3. 40代の場合
40代は子育て世代でもあります。急な休みについてや残業の有無など、今後の働き方について会社側に負担にならない説明をすることで、不安要素を解消することが重要です。
注意すべきポイント
- 40代未経験でも不可能でもないが、ある程度の素養が必要
- デスクワークやオフィスワークの経験など一般企業に勤めている人では可能性あり
成功の秘訣
- 事務経験こそないが、これまでの経歴から事務職で採用したいと思われるようなアピールをしよう
- これまでの経験だけでなく新しいことに挑戦する意欲もアピールしよう
事務職の求人が減る年代でもあるので、転職エージェントや派遣会社などに登録して、プロにサポートしてもらうのも一つです。
2-4. 50代の場合
50代になると事務職の求人は、40代よりさらに減りますが、資格を押さえておけば不可能ではありません。
注意すべきポイント
- 20代〜40代と比べると採用されるケースが格段と下がる
- パソコンのスキルは必須。
- パソコンの基本操作に加え、さらにアクセスを使いこなせるなどのスキルが必要
成功の秘訣
- 上記パソコンスキルに加えてSNSも使いこなせるとなお良し
- 特にインスタグラムやフェイスブックなどが使いこなせると重宝される
- 語学力があればなお良し。外資系企業や貿易事務など英語を使う仕事で有利になるでしょう。
SNSを使いこなせると自負する人が少ない上、SNSは企業のPR戦略に欠かせないツールです。使いこなせれば、すぐにでも欲しい人材になるでしょう。
3. 応募する上で事務の種類を理解しておく
事務職でも種類があります。入社後にギャップがないように、各事務職職の職務内容について理解しておきましょう。
3-1. 一般事務
一般事務という職種は、広い意味で使われています。そのため、業務内容は会社ごとや部署によって、仕事内容が違うこともあります。
規模の大きい会社の場合
- 書類作成や伝票処理などを通してサポートするのが基本
- 電話応対や来客の応対
- 郵便物の発送・仕分け等
規模の小さい会社の場合
- (人員が少ないこともあり、)営業事務から経理、総務に関する事務仕事も含まれることがあるので幅広い業務を担当
- 中には顧客データを打ち込むような単純作業な仕事もあり
一般事務はパートやアルバイト、派遣社員が中心です。未経験から転職する場合、一般事務はチャレンジしやすい職種といえるでしょう。
3-2. 営業事務
営業事務は、外回りが中心の営業職の人がスムーズに仕事をするためにサポートする仕事です。
具体的には、
- 書類作成やデータ入力、電話・来客応対といったオフィスワークが中心
- 会社が行う取引きの書類(見積書・契約書・発注書・申込書)などを一手に引き受けることもある
- 商品についての問い合わせや忙しい営業職の人に代わって資料を揃えたて、郵送手配をかける
など、社内や社外とのやりとりも多く、コミュニケーションスキルが求められる職種です。
3-3. 貿易事務
貿易事務は書類の作成や申請、手続きが主な仕事ですが、輸出入の現場の最前線をサポートをするので、事務の中でも特殊な職種といえます。
具体的には、このような特徴があります。
- 海外のお客様や取引先とのコミュニケーションは英語
- 英文メールを正確に読み、書類をしっかり作成できる正確さが求められる
実際の仕事内容としては、
- 輸送手配や税関を通るときの手続きが重要
- 品物が確実に届くように出荷だけでなく、在庫確認、発注のスケジュール調整まで長い期間の管理を担当
実務が未経験でも貿易に関する知識や通関士資格という資格をもっていれば、採用される確率は上がります。
3-4. 経理事務
経理事務とは、経理に関する事務作業を行います。
具体的には、
- 製品を受注する際の電話対応や見積書・伝票作成などの作成といった経理関連の事務作業が中心
- 必要な資格・知識は簿記(日商簿記検定)
経理の仕事はパソコンで管理されていることがほとんどなので、会計ソフトを使った経験があると、中小企業では、即戦力として評価されます。
4. 転職で事務職の内定をもらうポイント
事務職で内定をもらうためには、どんなことに意識するべきか。書類選考と面接に分けてポイントをお伝えします。
4-1. あると有利な資格
下記に職務経歴書上、あると有利な資格を紹介します。
4-1-2. MOS
「マイクロソフト オフィス スペシャリスト」の略です。
企業で働くときに絶対に使うMicrosoft Office製品の使用スキルがあると証明する国際資格です。
事務職は、WordやExcelを使って文書作成や管理をすることが、仕事の基本となります。
この資格があることで、一定のパソコンスキルがあるという証明にもなります。
4-1-3. 文書情報管理士
書類の電子化が進み、個人情報保護に対して注目が高まっており、文書情報管理能力を証明するものです。
レベルは、
- 2級(文書管理の基礎知識が中心)
- 1級(専門知識や実技、文書管理の指導力)
- 上級(課題分析能力や提案力)
の3つがあります。
課題の本質を明確化し、分析することができたり、文書情報管理の専門的知識が身につくので、MOS以外にプラスで取得しておくと他人との差別化になるでしょう。
4-1-4. 秘書検定
秘書の業務に就かなくても、ビジネスマナー全般を問う内容が多いので、ブランクのある方や未経験の方に取得していると良い評価になるでしょう。
社会人としての基本的なマナーを問う3級は就職活動をする大学生も取得するくらい一般的になっています。
秘書検定の1級は、面接試験があるだけでなく、合格して1年以内に、実用英語技能検定2級以上やTOEIC470点など他の試験にも合格する必要があるので、高いスキルの証明となります。
4-1-5. 簿記
一番多くの人が受験しているのが、日商簿記と呼ばれる「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験」です。
- 3級は基本的な仕分けや決算などの知識が身に付きます。
- 2級は、経営管理に欠かせない財務諸表を読み解けるようになります。
転職するときや経理事務を希望する方は持っていると役に立つ資格です。
4-1-6. TOEICや英検などの英語に関する資格
外資系企業や貿易事務に転職したい人は、取得しておくべき資格です。
TOEICは世界中で認識されている試験です。
英検は国内の企業に十分に認知のある資格です。3級から筆記と面接もあります。
履歴書に書ける目安は、TOEICなら600点以上、英検なら準1級が目安となります。
4-2. 職務経歴書はわかりやすく書く
面接官はあなたの仕事を理解しているとは限りません。職務履歴書は誰が見ても理解できるようにわかりやすく書くことを心がけましょう。
わかりやすく書くポイント
- 専門用語はなるべく使わず、業務がイメージできるように書く
- 具体的にわかりやすく書く
- どのような業務か一目で理解でき、それを活かせることがわかるように書く
記入例
書類作成
見積書や納品書、請求書の作成
雑務
書類のファイリング・整理 郵便物の発送・受け取り
データ入力
日々の売上やコスト管理、勤怠情報の入力など
伝票処理・整理
入金や出金、振替などの伝票処理 使っていた会計ソフトも明記してあると良い
備品管理・発注
コピー機の備品(インクや紙等)や文房具の在庫管理
対応業務
会社の代表番号の電話対応や、ホームページ経由の問い合わせメール等の対応をし、担当者に取り次ぐなど
4-3. 面接の際に見られているポイント
面接では、面接官はあなたが「事務職として当社で働けるかどうか?」を見ています。一般的にどのような人が事務職に向いているかを解説します。
4-3-1. コツコツとした作業を真面目にできる人
事務職の仕事は、デスクワークが中心です。
書類の作成など単純作業が多く、どうしても地道な作業が出来る人が求められる傾向にあります。また仕事の量が多く、毎日のルーティンワークもあります。
根気強く続けていく真面目さも求められます。
4-3-2. 責任感が強い人
事務職の中には様々な事務があります。
帳簿や経費の管理、従業員の勤怠管理など1日で終わる仕事ではなく、週単位で集計したり、月単位でもデータに越したり、年単位で処理が必要です。
これは自分のペースではなく、締め切りが決まっており、数字を間違えられません。
自分の任された事務作業を正確におこなう必要があるのです。
集中して作業している合間に電話対応や声を掛けられて仕事を頼まれたりもします。
期日が決まっていることも多いので、責任感が強い人が向いているでしょう。
4-3-3. コミュニケーション能力がある人
地道な作業だけでなく、部署や他の職種のとの連携、取引先とのやりとりも多い印象です。
社内外からの問い合わせにも対応しなくてはいけません。そのため、コミュニケーション能力も必要になってきます。
人と接するのが苦手な方は続かない可能性もあります。
4-3-4. 柔軟に対応できる人
作業量が多い書類作成やデータの入力のルーチンワークに加え、突発的に起こる問い合わせにも対応することもあり、自分のペースで仕事を進めることが難しい仕事の1つです。
自分が計画的に処理するルーチンワークに加えて、イレギュラーなことが起きても、臨機応変に対応できる柔軟性が必要になります。
4-4. 志望動機や自己PRの伝え方
その1:自分の強みを伝える
限られた時間で、どうやって面接官の興味を引いて印象付けるかが重要です。
「パソコンが使えます」「MOSの資格を取りました」だけでは、印象が薄く、面接官の記憶に残りません。
「前職でエクセルの関数を活用して表を作成することが多かったため、資料と作る際の表作りは慣れております」など、具体例を入れてイメージしやすいように伝えましょう。
その2:どうして事務職に就きたいのか
「事務職を手当たり次第に受けているのでは?」という意地悪な質問も出てくる可能性があります。
- 「なぜ、事務職の仕事に就きたいのか?」
- 「なぜ、事務職でなくてはいけないのか?」
- 「なぜ、自分が事務職として向いているのか?」
- 「入社して、事務職としてどのようなことをしたいか?できるか?」
などの動機付けをしっかりとして、理由を明確に伝えるようにしましょう。
その3:なぜその会社なのか
「転職を検討したとき、どうしてうちを受けようと思ったのか」という質問は、受けた会社に対してどれだけ興味を持っているかを聞いてきます。
どんな社風かを理解した上で、「自分と共感した部分を挙げてこの会社を志望しました」と簡単にまとめて答えられることが重要です。
会社については、会社説明会やホームページなどで資料を探し読んでおきましょう。
- 仕事の内容
- 研修制度や経営理念
- 社長のインタビュー記事など
採用側は、書類選考から面接までして採用しても、すぐに辞められてしまっては困るので、会社に興味があるという姿勢を見せることが大事です。
その4:疑問に思ったことは質問する
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれることはよくあります。
その際に、「ありません」と答えてしまうと「当社に興味がないのでは?」と見なされてしまいます。
そのため、質問は事前に会社のパンフレットやホームページを見て用意しておくことをおすすめしますが、推奨できない質問と推奨する質問があります。
推奨できない質問
- 休日や給与、その他福利厚生のことばかり聞く
- 教育制度が充実しているかなど与えてもらおうと見られる質問
- その他、ネガティブな質問や意欲がないと見られるような質問
推奨する質問
- 資料やホームページで事前に調べた上でその上で沸き起こってきた疑問
- 事業の内容や職務内容の詳細
- 会社の今後の方針や方向性など発展的な質問
良い質問は良いアピールに繋がります。積極的に前向きな質問をするよう心がけましょう。
4. おすすめの転職エージェントサイト
未経験から事務職の転職をする際、一人で転職活動をするより、転職のプロに相談した方が成功率が格段に向上します。
事務職に転職するのに有利な転職サイトをピックアップしました。
4-1. リクルートエージェント
注目すべきは求人件数の多さ。
なんと、20万件以上の転職の求人が会員のみに公開されています。気になる事務系の求人数ですが、公開求人だけでも3,000件前後と求人が豊富です。
また、転職支援サービスが無料で受けられるので、登録した方の満足度も高くなっています。
専任のアドバイザーと面談をすると、会員サイト内で、企業分析に役立つレポートや、面接の対策にもなるセミナーなども受講できます。
転職を考えたら、ひとまず登録しておく人も多いサイトです。
4-2. doda(デューダ)
非公開求人を求人から、スタッフが自分に合う求人をご紹介してくれるエージェントサービスがあるのが特徴で、自分に合った仕事について相談したいという方から、新しい分野で挑戦したいという方まで、応えられる転職サイトです。
職務履歴書や自己PRを登録しておくと、企業から直接オファーが届くスカウトサービスもあるので、自分に合った方法で転職活動を進められます。
未経験で事務職に転職したい方は、定期的に転職フェアを開催したり、個別面談会なども実施しています。エージェントサービスを利用するのに躊躇してしまう人は、イベントに出向いてから話しを聞いてみるのもいいでしょう。
4-3. type女性の転職Agent
女性は、結婚や出産などでキャリアが中断することも考えられるのでキャリアプランや転職の目的に合わせたアドバイスがもらえます。
また、年収交渉なども行ってくれるので、ステップアップのための転職を考える方には大きな味方となるでしょう。
特に関東圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)での求人が多い傾向にあります。
5. まとめ
転職が難しいと言われている事務職ですが、事務の種類によってスキルも違うことがわかります。
まずはどんな事務の仕事をしたいのか、自分の中で明確にしておくことが大切です。
また転職の際は、転職のプロの力を借りながら、未経験からでも事務職の転職を実現できることをお祈りしています。