これからプログラマーを目指す人も、今現在プログラマーとして働く人も、「その職業の将来性」というものは気になって仕方がない、というものだと思います。
例えば昔は電車の特急券の座席予約を、担当者が「運行予定のチェック」「空席確認」「座席の予約」「(場合によって)キャンセル処理」といった処理ごとに紙の台帳を使って処理していたわけなんですが、当然ながらこれはシステムによって取って代われることとなりました。
その際、担当者は「俺達の職人芸が機械なんかに真似できるか」といっていたそうですが、見事にその「職人芸」の仕事を奪ったのが、皆さんのような(実を言えば私もその端くれですが)プログラマーです。
勿論それは悪いことではなく、いわば「時代の流れ」であり、世の中をもっと便利にするために不可欠な「革新」だったわけです。
では、AIやRPAの台頭によって起こる「革新」のために、今度は我々プログラマーが仕事を奪われる番なのでしょうか。
時代の流れは「ノンプログラミング」になりつつある
私は仕事柄、業務自動化や効率化といったセミナーや企業展示会にしばしば出向くのですが、そこで見られる展示のほとんどは「RPA」になっています。
RPAはご存知のように「ノンプログラミング」が大きなウリで、現場の人間が即座に業務を自動化できる、ということを強みにしているツールですね。(例外的にプログラミングが必要なRPAもありますが、個人的にはそれは「始祖鳥」のようなもので、いずれ「鳥」であるノンプログラミングRPAに進化、もしくは取って代わられるものだと思っています)
たまに「業務アプリの提供」という会社もありますが、「業務アプリをノンプログラミングで開発できます」というブースのほうがはるかに勢いがあり、時代の流れは明らかに「ノンプログラミング」に傾きつつあるな、というのが私の実感です。
「プログラミング」は「過去のもの」になるのか?
では、「プログラミング」という行為は、例えば馬車を引く馬を御する行為のように、「ごくごく一部の人だけが行う特殊な行為」になっていってしまうのでしょうか。
私はこれに関しては、「Yes」でもあり「No」でもあると思います。
例えば、前述のようなノンプログラミングのサービスは、特定のアクションアイテムを内部的にプログラムコードに書き換えて機能を提供しているので、どうしてもその動作は定型的になりがちです。
「AをBしてからCを処理する」という命令はできても、「「AをBする時に同時にCの処理をはさむ」だとか、「Aに対するBの処理をCという条件に合致した時だけ実施」のような処理は、具体的な内容次第ですが実行できないことも多々あります。
RPAツールなどではこういった「カユイとこに手が届く」機能は、結局内部的なスクリプトを記述することで実現しています。
つまり、ノンプログラミングサービスを使う場合にも、最終的にはプログラミングを要する場面があるのです。
そして、結局のところ、「RPA」にしても「ノンプログラミングアプリ開発」にしても、それらのソフトウェアは誰かがプログラミングして作られています。
最終的な部分で、どうしてもプログラミングという行為からは逃れられないのです。
プログラマーは「人力車」になって生き残れ
そこで私は、「プログラマー」は「人力車」になるべきだと思います。
…いえ、転職の話ではありません(笑)。
明治時代に登場し、一気に広まった「人力車」というサービスは、鉄道の普及によって大きく廃れていくことになりました。
しかし、観光地に行けばまだまだいくらでも人力車を目にすることができ、しかも彼らは(成功していればですが)かなりの高給取りである場合もあります。
それはなぜか?ということを考えてみましょう。
まずは「小回り」ということが言えると思います。
鉄道よりも、車よりも小回りのきく人力車は、メジャーな観光名所ではなくちょっとマイナーな、しかし奥深いストーリーを持った場所を巡るのに最適です。
そして「奥深いストーリー」で言いますと、人力車の車夫の人は(個人差はあるのでしょうが)名所に関するストーリーを教えてくれます。
ツアー旅行のような「みんなに向けて」というものではなく、まさに「自分だけのために」向けられたストーリーが聞ける、質問もし放題、というところも魅力でしょう。
さらには、「お任せできる」ところも魅力だと思います。車にせよ鉄道にせよ、自分達で行き先を調べる必要があります。
それはそれで醍醐味ですが、たまにはお任せの旅もしてみたい、そんなニーズにこたえているのです。
これらは、今後のプログラマーが参考にすべきモデルである、と私は思います。
すなわち、前述のようにRPAやノンプログラミングアプリでは実現できない小回りを実現し、途中で行き先を変える相談もでき、そのストーリー、詳細な仕様や意図までも説明でき、場合によっては目的さえ決まればお任せでプログラムを開発してくれる、しかも仕上がりは人力車の座り心地のように心地いい…そんなプログラマーなら、どんな時代になってもニーズが途切れることはないと思いませんか?
お客さんをつかまえるために「街角」に立つ
しかしながら、「人力車」になるためには会社という枠組みにとらわれているわけにはいきません。
会社というのは基本的に「鉄道」として仕事をする存在ですからね。今すぐではないにしても、将来的には「人力車」としての仕事ができるような「スキル」と「集客力」を身につけなくてはなりません。
スキルは「鉄道」の中でも身につけられますが、では「集客力」はどうしたらいいのでしょう?
人力車の車夫は自分でお客さんをつかまえなくてはなりません。実際の人力車ならば観光地の入り口あたりの街角に立っていれば観光客をつかまえられますが、プログラマーはどうすればいいのでしょう?スタバに座っていればいいのでしょうか?(笑)
スタバはともかく、フリーオフィスのような場所で聞き耳を立てているのは一つの方法だとは思います。が、それは駅前でナンパしているチャラ男と同じような非効率な手法です。
そもそもそうやって声かけをする行為はほとんどのフリーオフィスで規約違反のはずですし…。
じゃぁどうやってお客なんて集めるのさ!という問いの答えはここにあります。
こちらはフリーランスエンジニアと仕事を依頼したい企業との橋渡しをするサイトです。
まさにここが、人力車にとっての「街角」、すなわち「ニーズを持った顧客が集まる場所」ということになるわけです。
まとめ
プログラマーという職業の将来性は、少なくとも暗くはないと思います。ただし、そのニーズは「高度化」あるいは「多様化」していき、本当に高度な技術を持つ人と、人力車のように小回りと融通の利く人とに大別されていく、というのが私の見込みです。
これからの時代は変化の時代とも言われていますし、多様なニーズにこたえられ、なおかつ会社に頼らずとも生きていける技術を持った人こそが生き抜いていける時代になっていくと思います。
つまり、「職業の将来性」ということよりも「自分の将来性」が問われる時代になっていくのです。
そんな時代を生き抜くために、フリーランスとしてもやっていける「人力車」の力を身につけましょう!