今や年間300万人以上が転職をする世の中です。
転職や再就職を考えている人にとって、どんな媒体やエージェントをつかって就職活動をするかは就職先や活動期間に違いが出てくるためとても重要なことです。
ハローワークと民間の就職サイトやエージェントを比較してどちらを利用したらよいのか悩んでいます、という相談もよく受けます。
私はそんな質問には下記のように答えています。
ハローワークと民間エージェントにはそれぞれ良いところがあり優劣はありません。
しかしあなたがどちらを利用していいという事でもありません。
あなたの属性(職歴・年齢)や志望先、就職したいタイミングなどをふまえ、どちらを利用したらよいかアドバイスいたしますので詳しくお話を聞かせてください。
それではあなたはどちらを利用したらよいのか?その「選び方」をご紹介したいと思います。
1. 「キャリアアップ」「年収アップ」を目指すなら民間エージェント
現職での(想定される)キャリアパスに魅力を失ったり、家族ができたことでもっと年収を上げたいと思い転職を決意する人はたくさんいます。
そんな人はまず民間のエージェントを利用して活動することをお勧めします。理由は下記の3点です。
1-1. 専任の担当者がつく
民間エージェントに登録すると、多くの場合まずあなた専任の担当者がついてくれます
あなたの希望や経歴に基づいて求人を紹介してくれるので、ミスマッチが起こりにくくなります。
1-2. スピードが速い
民間エージェントは営利団体ですので、成約者を出さなければもうけが出せません。
当然求職者一人に対して成約する時間が短ければ短いほど効率が良いため、スピード感ある対応をしてくれます。
1-3. 条件の良いマッチングを進めてくれる
民間エージェントは企業に対して成約者の年収に応じた報酬を受け取ることが一般的です。
つまりなるべく高い年収で成約することが会社のもうけにつながりますので、なるべく良い条件でマッチングするために、求人選びから応募種類の添削、条件交渉などに尽力してくれます。
2. 民間エージェントを利用する際の注意点
前述のとおり民間エージェントはまさに痒い所に手が届くサービスを展開していますが、利用する際は下記の点に注意が必要です。
2-1. 見切りが早い
民間エージェントはスピード感がある反面、成約の見込みがないと判断した求職者は容赦なく切り捨てます。
いつまでもお金にならない仕事をしていては生産性が上がらないためで、これは民間企業としては当然のことです。
2-2. 求職者の希望が優先されないケースもある
民間エージェントはより良い条件でマッチングさせることが利益につながるため、求職者の希望しない企業への応募を進められることもあります。
時には社内キャンペーンを開催し、力を入れてマッチングしたい企業や求人の成約数に応じたインセンティブを社員に付与するケースもあります。
しかしながら、うまく利用すればハローワークを利用するより「ランクの高い」求人に応募することができるので、「キャリアアップ」「年収アップ」を目指す人は、民間エージェントを押えておくと良いでしょう。
3. 「転職先がなかなか決まらない」「再就職を目指す」ならハローワーク
意気揚々と転職活動を始めたがなかなかうまくいかないことも良くあります。
中には半年、1年以上転職活動を続けているという人もいます。
しかし転職活動は3か月を経過した時点から大幅に成功率が下がりはじめ、長引けば長引くほど不利になっていきます。
民間のエージェントでは専任の担当者が集中してマッチングを進めてくれる期間は最初の1~2か月だけで、3か月を過ぎるとほぼ相手にしてくれなくなってしまいます。
また、一度会社を退職して現在無職の人は、よほどのスキルや経験を有していないと民間エージェントは利用できません。(正しくは、登録はできても積極的なサービスを受けることはできません。)
そんな人には、公的機関であるハローワークをお勧めします。
理由は下記のとおりです。
3-1. 求人数が圧倒的に多い
ハローワークは公的機関なので求人掲載にお金がかかりません。
ですので民間サイトや新聞広告など有料の媒体に掲載できない企業も気軽に求人を出すことができます。
求人数は日々更新され、民間サイトとは比較にならないほど多数掲載されています。
3-2. 利用に制限がない(年齢・経歴・経過月数など)
民間のエージェントと違い、年齢が高い、スキル不足などの理由で利用が難しくなることはありません。
また、現在無職の人でも応募可能な求人も多数存在しますし、転職活動がうまくいかない人も粘り強く利用することが可能です。
4. ハローワークを利用する際の注意点
民間エージェントを利用していた人がハローワークを利用すると、サービスや雰囲気の違いに戸惑う場合もあります。
ハローワークを利用する際は、両者の違いをよく理解したうえで、以下の点を留意しておくことが必要です。
4-1. 条件の良い求人はあまり期待できない
企業は無料で掲載できるハローワークからハイスペックな人材が採用できるとは考えていないことが多く、良い求人は有料サイトに掲載したりエージェントを通じて採用活動を行いがちです。
ハローワークを通じて転職活動をする場合は、条件・年収アップなどを期待しないほうがよいでしょう。
4-2. 書類の手続きなどがめんどくさい
ハローワークは公的機関、いわばお役所ですので登録や応募、就職が決まった際などに決まった書類を提出しなければなりません。
民間エージェントが代行してくれた応募手続きもすべて自分で行わなければなりません。
また、応募書類の添削や面接練習などをしてくれるコーナーもありますが、自分自身で必要に応じて能動的に申し込まなければなりません。
しかしながらハローワークは、なかなか転職先・再就職先が決まらない人にとって、最後の砦ともなりえる頼りになる機関です。
あきらめずに粘り強く、うまく利用することをお勧めします。
5. まとめ
このように、ハローワークと民間のサイト、エージェントは似て非なるものであり、「どちらを利用すればよいか」は自分の置かれてる状況や希望をよく考えて決める必要があります。
中には「とりあえず両方利用したらよい」と書いてあるサイトもありますが、その場合、自然と最初の1~2か月は民間エージェント中心、その後はハローワーク中心の利用となっていきます。
ただし、民間エージェントを利用している間も自分の立場や希望を見失わないようしっかり整理し、エージェントの勧めをうのみにしすぎないことが大切です。
さらに、なかなか内定に至らず、エージェントからの連絡もだんだんと滞りがちになり積極的な支援を受けられなくなってしまっても、決して意気消沈しないことが大切です。
転職・再就職が決まるまで一定のサービスを受け続けることができるハローワークを利用して、最後まで活動を続けるよう心がけてください。